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研究成果

かずさDNA研究所がユーカリの全ゲノム解読に着手

ゲノム情報を利用した品種改良にむけて王子製紙(株)と共同研究を開始

2004年7月14日

 かずさDNA研究所は、樹木がもつ遺伝情報を解明するため、ユーカリの全ゲノム解読に着手します。

 樹木は地球上のバイオマスの大部分を占め、炭酸ガスの吸収、保水など地球環境に大きな役割を果たしています。また、産業上の重要性も高く、中でもユーカリは製紙原料として最も利用されている樹種の一つです。本プロジェクトによって遺伝解析の基盤情報であるゲノム構造が明らかになることで、ユーカリのみならず樹木全般の育種が加速することが期待されます。近い将来、樹木バイオマスの維持と活用、炭酸ガス削減問題の解決など地球環境の改善に大きく貢献すると考えられます。

 ゲノム解読の成果を有効活用するため、今後、基礎・応用研究の新たな展開をめざして国内外の研究機関と幅広く共同研究を進める予定です。その最初の試みとして、ユーカリの育種にむけた有用遺伝子の単離を目的として王子製紙(株)との共同研究契約を締結しました。具体的な育種の目標として、樹木バイオマスの本質である木部形質の改良、環境ストレス耐性の付与に必要な遺伝子の探索を進め、その情報を活用した選抜・交雑は元より、遺伝子組換え技術による効率的な新品種の創出を目指します。また、これら新品種の大規模植林において必要となるクローン増殖を支援するための挿し木方法の改良や、遺伝子組換えユーカリの生態系への影響(花粉の飛散)を抑止するための花芽形成機構の解明も行います。