[第2シリーズ] 第1回
「DNAとゲノムから見る生物の進化や多様性」Q & A
回答者:藤山秋佐夫先生
【 質問1 】
遺伝子の変化が全くない生物はいるのですか?
【 回答1 】
ご質問いただきありがとうございます。わたくしがお話しした内容のポイントの一つが、DNAは変化するというものでした。世の中に絶対というものはなかなかないのですが、地球上の生物では、ご質問のような生物はいないと思います。
講演でも簡単に触れたように、DNAの材料となるヌクレオチドは、細胞内での化学反応で作られています。DNAは宇宙から来たのだろうという説もありますが、それはそれとして、生物が生物である性質の一つとして自己増殖を行うためには、親となる細胞のもつ物質と同じものをもう1セット作る必要があります。その際には、一定の頻度で構造的なエラーが生じること、作られた後にもさまざまな原因で変化することをお話ししました。一方で、ある細胞(のようなもの)が外界から完全に遮断され、なおかつ分子の熱運動を原因とする変化も起こらないよう(要するに絶対零度近くに保つ)な状態、「例えば隕石の中に奥深く閉じ込められ、宇宙空間に漂っている「生物の種」のようなもの」が存在することを期待する人もいるのですが、これは夢として残しておきたいと思います。
講演でも簡単に触れたように、DNAの材料となるヌクレオチドは、細胞内での化学反応で作られています。DNAは宇宙から来たのだろうという説もありますが、それはそれとして、生物が生物である性質の一つとして自己増殖を行うためには、親となる細胞のもつ物質と同じものをもう1セット作る必要があります。その際には、一定の頻度で構造的なエラーが生じること、作られた後にもさまざまな原因で変化することをお話ししました。一方で、ある細胞(のようなもの)が外界から完全に遮断され、なおかつ分子の熱運動を原因とする変化も起こらないよう(要するに絶対零度近くに保つ)な状態、「例えば隕石の中に奥深く閉じ込められ、宇宙空間に漂っている「生物の種」のようなもの」が存在することを期待する人もいるのですが、これは夢として残しておきたいと思います。
【 質問2 】
ヒトとチンパンジーの違いが1%というのは意外。
【 回答2 】
まず、1%とという値については、両者のゲノムを並べて比べることのできた領域内での塩基置換の頻度であることをお話ししました。また、ざっとですが、塩基配列中の領域に欠失や挿入のあることもお話ししまた。挿入欠失についてのデータもあるのですが、数字としては紹介していません。また、染色体数についてもヒトは44+XY、チンパンジーは46+XYとなっています、この違いは共通祖先種から見てヒトの系統の側で、どこかの段階で2本の染色体が結合して1本の染色体になったためです。また、これもお話しませんでしたが、ヒトではAlu配列と呼ばれる300ヌクレオチド程度の領域が大量に増え、ゲノム中に散在してます。残念ながらチンパンジーゲノムの解読精度がヒトのそれほど高くないため、これらの変化が両者の遺伝子発現のパターンにどのような変化をもたらしているかは今のところ不明です。とりあえずは、塩基置換の1%程度以上に大きな違いがあることはご質問の通りです。また、ヒトとチンパンジーの違いを特定の遺伝子に結び付ける主張もあるのですが、わたくしは今のことろ信じておりません。それ以上にヒトの個人間でも多くの変化がみられることは、このシリーズの別の講演でお話があると思います。