テーマ 6遺伝子は実在します

　メンデルは彼自身の研究である Experiments in Plant Hybridization［植物の雑種に関する実験］を1865年に発表し、いくつかの国の著名な科学者に論文の別刷を送りました。しかしながら、遺伝子についての彼の理論上の考えは、主に生物の観察と分類の訓練を受けていた当時の自然科学者には受け入れられませんでした。そのため、メンデルの研究は3人のヨーロッパの科学者がそれぞれ独立に彼の結果を認めた1900年まで放置されていたのでした。

　その頃までには、細胞が生命の基本単位であるという説得力のある証拠がありました。生物学的な染色技術が発達し、糸のような染色体を含む細胞内の構造体を染め分けました。異なる生物は異なる数の染色体を持つことが証明され、染色体がそれぞれの生命の形に特徴的な情報を運んでいることが示唆されました。細胞と染色体の挙動を研究した結果、メンデルの理論上の遺伝学の研究に必要とされた物質的な背景が与えられました。