テーマ 29DNAが折りたたまれて染色体になります
1800年代後半の細胞学の研究から、それぞれの生物は、その細胞の核の中に特有の染色体セットを持つことが明らかになりました。同時期の生化学の研究からは、染色体を作り上げる細胞核内の物質はDNAとタンパク質であることが示されました。20世紀初頭からの40年間、多くの科学者はタンパク質が遺伝暗号であり、DNAは単に支えとなっている“足場”に過ぎないと考えていました。
ところが全く逆のことが真実であることが証明されたのです。1940年代から1950年代にかけてのアベリーとハーシーの研究によりDNAが遺伝分子であることが証明されました。1960年代から1970年代に行われた研究により、それぞれの染色体は基本的には1本の連続する非常に長い鎖状DNAが詰め込まれてできていること、高等生物ではヒストン等からなる構造タンパク質が“足場”となってDNAがコンパクトな染色体を形作っていること、DNA鎖はヒストンのコア[芯]に巻き取られ、次々にループを作り染色体の特定部位で固定されていることが示されました。