テーマ 30高等生物の細胞は共生により染色体を取り込んでいます
核にある染色体セットとは別に、細胞質にあるエネルギー生産器官のミトコンドリアには異なる染色体があることが分かりました。ミトコンドリアの染色体には酸化的リン酸化、すなわち、エネルギーの生産と貯蓄に関わる遺伝子が含まれています。ミトコンドリアは、昔は独立して生きていた細菌が真核生物の祖先となる原始的な細胞に取り込まれたのだという証拠があります。原始的な宿主の細胞はすぐに使えるエネルギーに富んだ栄養源を提供し、ミトコンドリアは酸素を利用してエネルギーを取り出す方法を提供しました。太古の大気に酸素が蓄積されるようになるとこの共生関係が生き延びるために必要となってきました。
ミトコンドリアは細菌と物理的な大きさが似ていて、ミトコンドリアゲノムは細菌の特徴を残しています。細菌の染色体のようにミトコンドリアゲノムは環状の分子です。また、ミトコンドリアの遺伝子には非常に稀にしかイントロンが見つかりません。植物は葉緑体の中にも別の古来の染色体を持っています。これもまた共生によって取り込まれたものです。