テーマ 33遺伝子はオン/オフすることができます

遺伝子はオン/オフすることができます。

 1950年代から1960年代にかけて遺伝暗号や遺伝子の構造が明らかになり、遺伝子はタンパク質の設計図であり、両者が1対1で対応していると考えられるようになりました。しかし、遺伝子がタンパク質を常に生産しているわけではないことから、生物は遺伝子の発現を制御していることが示唆されました。この細菌を用いた遺伝子の発現制御を初めて明らかにしたのはフランスの研究者たちです。

 ラクトース[乳糖]存在下では、大腸菌のラクトース代謝に関わる一連の遺伝子はオンになります。研究者たちはこのラクトースが引き起こす事象を研究して、ラクトースがDNAから抑制因子を取り除くことを突き止めました。抑制因子が取り除かれることで遺伝子の発現はオンになります。

 抑制因子を発現する遺伝子は制御遺伝子ということになります。その発見は高等生物の発生の認識を変えました。細胞はDNAの中に構造タンパク質のための遺伝子設計図だけでなく、それらの設計図を発現するための遺伝子制御プログラムも持っているのです。