テーマ 36細胞ごとにさまざまな遺伝子が活性化されます

　多くの生物は、異なる機能を実行するために特殊化した多様な細胞で構成されています。例えば、肝臓の細胞は神経細胞とは異なる生化学的な役割をもっています。生物個体の全ての細胞には全く同じセットの遺伝的指令が存在するにも関わらず、異なる種類の細胞はどのようにして異なる構造を持ち、生化学的にも異なる機能を持つようになるのでしょうか？生化学的な機能の大部分は特有の酵素（タンパク質）によって決定されるため、様々な種類の細胞において異なる遺伝子の発現がオン／オフとなっているはずです。このようにして細胞は分化していきます。

　この、細胞ごとに決められた遺伝子発現という概念は、ある種の細胞でのみ発現するmRNAを同定することができるハイブリダイゼーション実験によって実証されています。ごく最近では、DNAアレイや遺伝子チップによって、生命体の中で変化する全ての遺伝子発現の状況を迅速に解析することができます。外からの因子に反応して同時に発現する遺伝子群を探索したり解析することができます。