第1回「新しい植物バイオテクノロジー技術」
講師:土岐精一先生
龍谷大学 農学部 生命科学科 植物ゲノム工学研究室 教授
農研機構 生物機能利用研究部門 作物ゲノム編集研究領域 主席研究員
横浜市立大学 生命環境システム科学専攻 客員教授
配信期間:2024年10月18日(金)〜 10月28日(月)
美味しいお米や野菜・果物、綺麗なお花は、長い年月をかけて品種改良されてできたものです。品種改良が無ければ地球上で人類が繁栄することは無かったと思います。品種改良は、交配によって良い形質(形態・性質)に関わる遺伝子を集め、突然変異を起こした個体の中から良いものを選んで行ってきました。これらの方法は交配育種・突然変異育種と呼ばれています。
これらの育種法の重要性はこれからも変わりませんがが、近年植物のゲノム(ゲノムとはDNAの文字列に表された遺伝情報すべて)解析が進み、植物のゲノム上に細胞外から有用な遺伝子を導入し、さらにはゲノム上の遺伝子を直接改良できるようになり、品種改良も新たな時代を迎えたと考えられます。
生物のゲノムを改変する方法は、生命の営みの中で行われている改変を、その仕組みを調べ、改良してきたものです。植物の遺伝子導入も、遺伝子の直接改変に使われるゲノム編集技術も、細菌が持っているシステムを改良して利用しています。
本講義では、新たな品種改良技術の仕組みを説明致します。地球温暖化や人口問題に対して、これらの技術がどの様に貢献できるか理解して頂ければ幸甚です。