テーマ 1子は親に似ています

子は親に似ています。

 人類の歴史が始まって以来、形質はどのように次の世代へと受け継がれていくのだろうと、人々は不思議に思っていました。一般に子どもは他人よりも親によく似ていますが、たいていの子は両親の特徴を合わせ持っているようです。何世紀にも渡る栽培植物や家畜の品種改良により、馬の速さ、牛の力強さ、大きな果実などの有益な形質は、交配をコントロールすることで強調されていくことが分かってきました。しかしながら、ある特定の両親から生まれる子の形質を予測する科学的な方法はありませんでした。

 両親から受け継がれる個別の“因子”、後に遺伝子として知られることになるものにより、個体の形質は決められるということを、1865年に初めて聖アウグスティノ修道会の修道士であったグレゴール・メンデルが発見しました。彼の厳密な研究方法は、農業における品種改良を技術から科学に変えました。彼は、最初によく知られた遺伝的な背景を持つ親を使って基準の形質を決め、それが子どもに伝わるパターンを比べました。そして、更に続く世代で、様々な形質を持つ個体の数を注意深く数えました。