テーマ 21RNAはDNAとタンパク質の間を仲介します

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ポール・ザメクニックは、マーロン・ホーグランドと共に、タンパク質合成の研究に使用した無細胞抽出液を開発しました。彼らは、フランシス・クリックが、彼のセントラル・ドグマで予測したようなアダプターとして、tRNAを発見しました。シドニー・ブレナーは、mRNAが、DNAからリボソームに情報を運ぶ、不安定な仲介物であることを示しました。

　マーロン・ホーグランドは、ボストンで生まれました。父親は、神経生物学に関心を持つ科学研究者でした。父の仕事に対する献身と情熱は、若いホーグランドを惹きつけると同時に、反発もさせました。ホーグランドは、科学者とはどういうものかを、直に学んだのでした。ホーグランドはかなり早いうちに、何か専門を持ちたいと思っていましたが、科学者になりたいかどうかは、はっきりしていませんでした。

　ホーグランドは、父親と直接競争しなくていいように、医者になろうと決めました。彼は最初ウィリアムズ大学へ、1年後にハーバード大学に移りました。第二次世界大戦がちょうど勃発し、医師の需要が高まっていたので、ホーグランドは大学を卒業する前に、医学部に入りました。彼は自分に、外科医としての才能を見出しました。彼は手作業に優れていて、解剖学は、彼の好きな科目でした。不幸なことに、卒業の3ヶ月前に、ホーグランドは、結核と診断されました。彼は、サラナック湖にあるトルドー療養所に送られました。そこはフィーバス・レヴィーンが、安静にして治すという古典的な治療のために滞在した場所と、同じところでした。抗生物質を使った治療は、彼の滞在の終わり近くになるまで、ありませんでした。しかし、そのころまでには、ホーグランドは、十分健康を取り戻したように見えました。

　1947年ホーグランドは、中断した学年を終えるために、ハーバードの医学部に戻りました。彼は、変わらず外科医を目指していて、1948年の卒業後に外科のインターンに応募していました。ほんの数週間後、より負担のない職業に就く必要があることが、すぐに明らかになりました。ホーグランドは、結核を再発していました。ホーグランドは失望し、マサチューセッツ総合病院のハンチントン研究所所長のヨーゼフ・オーブの博士研究員に応募しました。

　ハンチントンでホーグランドは、科学者となるべく学びました。彼は、酵素活性におけるベリリウムの効果について研究し、その間に、生化学とポール・ザメクニックの研究室で行われている、タンパク質合成により興味を持つようになりました。ホーグランドは、生化学についてもっと学ぶためにサバティカル［長期休暇］を計画し、戻った時にザメクニックの研究室で仕事ができることを目標にしました。

　1953年、ホーグランドはザメクニックの研究室で、アミノ酸の活性化の問題について研究を始めました。ザメニックの無細胞系を使って、ホーグランドはメカニズムを見つけ出し、成果を1955年に発表しました。それから彼は、ザメクニックが中断していたプロジェクトを始めました。これが、tRNAの発見へとつながりました。この（フランシス・クリックにより予測されていた）アダプターは、アミノ酸をメッセンジャーRNAに運んでいました。この成果は1957年に発表され、科学研究の２つの分野、生化学と分子生物学を結びつけました。

　ホーグランドは、1958年にケンブリッジ大学に滞在し、フランシス・クリックとtRNAを使って、遺伝暗号を解く研究をしました。彼は、ハーバード大学医学部の微生物学研究室の准教授として、アメリカに戻りました。ハーバードでの7年間で、ホーグランドは、教師として大きな満足を得て、研究にしか興味のない科学者の中に、“教師”がいないことを知って嘆きました。彼は、ハーバードを去り、ダートマス大学医学部での職に就き、そこで、生化学のカリキュラムを改善しました。

　1970年、ホーグランドは、父親が設立したウースター財団実験生物学研究所の所長になりました。ホーグランドは新しい研究者を惹きつけることができ、ウォレスターの細胞生物学、内分泌学、神経生物学、そして、再生生物学の研究プログラムを立ち上げ、確かなものにしました。1980年には、ポール・ザメクニックの勧誘に成功しました。

　 ホーグランドは定年後も、教育や教えることに、強い関心を持ち続けました。何年にも渡って、彼は、遺伝子と分子生物学について“学術的でない”本を書きました。”The Way Life Works［生命の働く仕組み］“は、高校の生物学の、また関心のある一般向けのよくできた教科書として、再編集されました。ホーグランドには、木を彫刻して作品を作るという、生涯を通じての趣味がありました。