テーマ 21RNAはDNAとタンパク質の間を仲介します
 
				 
				 ポール・ザメクニックは、マーロン・ホーグランドと共に、タンパク質合成の研究に使用した無細胞抽出液を開発しました。彼らは、フランシス・クリックが、彼のセントラル・ドグマで予測したようなアダプターとして、tRNAを発見しました。シドニー・ブレナーは、mRNAが、DNAからリボソームに情報を運ぶ、不安定な仲介物であることを示しました。
				ポール・ザメクニックは、マーロン・ホーグランドと共に、タンパク質合成の研究に使用した無細胞抽出液を開発しました。彼らは、フランシス・クリックが、彼のセントラル・ドグマで予測したようなアダプターとして、tRNAを発見しました。シドニー・ブレナーは、mRNAが、DNAからリボソームに情報を運ぶ、不安定な仲介物であることを示しました。
ポール・チャールズ・ザメクニック(1913-2009)
 
			ポール・ザメクニックは、オハイオ州クリーブランドで生まれました。彼は、ダートマス大学に進み、1934年にダートマス大学医学部を卒業しました。医師としての教育を受けたものの、ザメクニックは、いつも科学に興味がありました。彼はついに、研究の道に進むことに決めました。発見すべきものが、とても多くあったからです。彼のタンパク質合成への関心は、ひとつの疑問から始まりました。1938年、ザメクニックはインターンとして、肥満の女性の死体解剖を行っていました。彼は、不思議に思いました。なぜ、タンパク質と筋肉があったはずのところに、脂肪があるのだろう?と。誰も、答えを知りませんでした。
1939年、ザメクニックは、ロックフェラー研究所のタンパク質化学者のマックス・ベルクマンに接触しました。彼は、ベルクマンの研究室で職を得ることを望んでいました。そうすれば、タンパク質合成の問題に取り組むことができます。ベルクマンは、彼の申し出を却下しました。ザメクニックは、医師であっても、研究者としての学位を持っていなかったためです。
ザメクニックはデンマークのカールスバーグ研究所のカイ・リンドストローム-ラングと研究する奨学金を得ました。リンドストローム-ラングは、タンパク質化学分野のリーダーでした。ザメクニックは、そこで十分な教育を受け、経験を積み、アメリカに戻った時にベルクマンは、彼に職を提供しました。
ザメクニックは、ロックフェラーに長くはとどまりませんでした。彼は、ボストンのマサチューセッツ総合病院のハンチントン研究室に誘われました。そこで彼は、フリッツ・リップマン(1953年のノーベル賞受賞者)と仕事をし、放射性同位元素を使って、タンパク質はアミノ酸から作られていて、その生成過程には化学エネルギーのATPが必要であることを証明しました。それから、ザメクニックは、タンパク質の配列はどのように決められているのかに興味を持ち、タンパク質合成に必要な全ての構成要素の単離と同定を試みました。
1952年、ザメクニックは、ラットの肝臓からの無細胞抽出液で、アミノ酸からタンパク質を合成することに、部分的に成功しました。1953年、この系を使って、ザメクニックとマーロン・ホーグランドは、アミノ酸はペプチド鎖に取り込まれる前に、ATPによるエネルギー供給、つまり“活性化”されなければならないことを示しました。それから、1956年に、ホーグランドは、ザメクニックが前に出した結果を徹底的に追求しました。ザメクニックは、無細胞抽出液にある低分子RNAが、放射性標識したアミノ酸と結合できることに気がついていました。このことが フランシス・クリックが彼のセントラル・ドグマで予測していたアダプターである、tRNAの発見につながりました。
1956年、ザメクニックは、ハンチントン研究所長に任命されました。1960年、彼の研究室で大腸菌からの無細胞抽出液が開発されました。彼は、他の科学者に、その調整方法を開示しました。マーシャル・ニーレンバーグとヨハン・マセーリは、遺伝暗号を解読するのに、大腸菌からの無細胞抽出液を用いました。
ザメクニックは、tRNA精製と配列決定の仕事を続けました。1978年に、彼は、別のおもしろい結果を得ました。彼は、オリゴヌクレオチドが細胞に入ることができることを発見したのです。このことは、新しい研究分野と治療の可能性に繋がりました。アンチセンスRNA[訳注::RNA分子に対して相補的な塩基配列をもつRNAの総称で、特定の RNA と二本鎖を形成する。]ウイルスのメッセンジャーRNAを阻害するのに使える可能性があります。1993年以降ザメクニックは、バイオテクノロジー会社であるハイドロン社の取締役会のメンバーになっています。そこでは、アンチセンス阻害剤のアイデアに基づいた、治療薬の開発を行っています。
ザメクニックは、引退することはありませんでした。2009年に亡くなるまで、マサチューセッツ総合病院の研究室を運営し、ハーバードの名誉教授でした。
 
				 
				マーロン・ホーグランドの父親は、研究者でした。彼は、実験生物学のためのウースター財団を創設しました。この研究所で開発されたものの中に、経口避妊薬があります。
 
				ホーグランドとザメクニックは、タンパク質合成反応における分子を同定し、エネルギーが必要なことを示しました。もし彼らが、フランシス・クリックのアダプター仮説を知っていたら、もっと簡単に結果を得られたでしょうか?
 細胞核にある重要な分子はDNAとタンパク質です
細胞核にある重要な分子はDNAとタンパク質です ひとつの遺伝子はひとつのタンパク質を作ります
ひとつの遺伝子はひとつのタンパク質を作ります 遺伝子はDNAからできています
遺伝子はDNAからできています 細菌やウイルスも DNA を持っています
細菌やウイルスも DNA を持っています DNA分子はねじれたはしごのような形をしています
DNA分子はねじれたはしごのような形をしています DNAのはしごは全体をコピーするための鋳型となります
DNAのはしごは全体をコピーするための鋳型となります RNAはDNAとタンパク質の間を仲介します
RNAはDNAとタンパク質の間を仲介します DNAの単語は3文字の組合せで決まります
DNAの単語は3文字の組合せで決まります 遺伝子はDNA上に散在します
遺伝子はDNA上に散在します RNAは編集されることがあります
RNAは編集されることがあります 一部のウイルスはRNAに遺伝情報を持っています
一部のウイルスはRNAに遺伝情報を持っています RNAは最初の遺伝分子でした
RNAは最初の遺伝分子でした 突然変異により遺伝情報が変化します
突然変異により遺伝情報が変化します ある種の変異は自然に修復されます
ある種の変異は自然に修復されます