テーマ 37マスター遺伝子は基本的な体づくりを制御します

ショウジョウバエの発生と胚でのタンパク質分布を調べましょう。

やあ! ショウジョウバエの初期発生は、母性タンパク質の前/後(A/P)軸と背/腹(D/V)軸での正確な分布に依存しています。 A/P軸は、前後の濃度勾配を有して発現しているBICOIDと呼ばれるタンパク質によって構築されます。 [前][後] BICOIDタンパク質を全く持たない胚には何が起きますか? 何も起きません、背/腹軸で濃度勾配が存在している限り、胚は正常に発育します。 (いいえ、BICOIDは前方組織のために必要です。) 胚は前方組織を全く持たないで発生し、最終的に死ぬ。 正解です。 胚は背あるいは腹の組織を全く持たないで発生し、最終的に死ぬ。 いいえ、背/腹の濃度勾配はBICOIDタンパク質の発現に依存しません。 背/腹軸の濃度勾配が引き継がれ、新たな背/腹を構築する。 いいえ、新しい背/腹の濃度勾配は築かれないでしょう。 BICOIDは、A/P軸を構築し、前方組織の形成に必要です。 例えばヌル変異体(訳注:機能を持つ遺伝子産物を作れない変異体)のように、bicoidタンパク質が無いと、前方組織が正しく形成されずに、胚は最終的に死にます。 これらの写真は、正常量のBICOIDタンパク質で発生した野生型のショウジョウバエと、BICOIDタンパク質を全く持たない変異体のショウジョウバエのものです。“前方”の指令がない場合、胚は初期値に戻り、両端に後方の組織を形成します。 [前][後] [野生型のショウジョウバエ胚] [bicoidのないショウジョウバエ胚] いくつかの変異体では、タンパク質の過剰発現が可能です。BICOIDタンパク質を過剰発現させると何が起きると思いますか? 何も起きない。A/P軸がある限り、胚は正常に発生します。 いいえ、BICOIDタンパク質の過剰発現により濃度勾配が変わります。 多くのBICOIDタンパク質があるので、前方の組織は形成されない。 いいえ、前部構造を形成することができます。 胚は、より多くの前方組織が現れ、より少ない後方組織が現れることにより、最終的に死ぬ。 正解です。 上記のいずれでもない。 いいえ、正しい答えはあります。 より多いBICOIDタンパク質によって、多くの前方組織がA/P軸に沿って形成されます。 BICOIDタンパク質の有効濃度は、前方の先端で増加しています。 この画像はHAIRYと呼ばれるタンパク質のショウジョウバエ胚での発現パターンを示しています(黄色で示しています)。 [ HAIRYの発現] あなたが知っているところでは、hairyはどんな種類の遺伝子ですか? 背腹軸を構築する遺伝子 (いいえ、 hairyは濃度勾配で発現していません。) ペアルール遺伝子。 (正解) ギャップ遺伝子。 (いいえ、hairyは体節では発現していません。) hairyは、ペアルール遺伝子です。ショウジョウバエの胚で発現し、この遺伝子もまた胚の体節を定義します。この遺伝子の変異体は融合した体節を持ち、余分な毛を持つことから“hairy”という名前になりました。 [hairy=ペアルール遺伝子] これは、別のショウジョウバエの突然変異体の肢です。この変異体では、肢でeyeless遺伝子が発現した結果、場違いなところに眼ができます。 [異所的eyeless発現] この新しい眼には神経が通じていないため、ショウジョウバエはそれを通して“見る”ことはできません。しかし、ショウジョウバエの眼の機能的部位はあります。 この場合、 eyelessはどのような遺伝子の一例でしょうか? 胚性致死 いいえ、胚は成虫の組織を成長させるまで生きます。 セグメントポラリティー いいえ、セグメントポラリティー遺伝子は、個々の体節のA/Pの方向性に影響を与えます。 ホメオティック。 正解です。 頭組織に特異的なA/P軸決定因子 いいえ、A/P軸決定因子は、体の部位を決められません。 eyelessは、ホメオティック遺伝子です。なぜなら eyelessは体の部位を決定する能力を持っています。この例ではeyelessは肢を眼に変化させました。