テーマ 15細胞核にある重要な分子はDNAとタンパク質です

フリードリッヒ・ミーシャととフィーバス・レヴィーンが、ヌクレインとタンパク質とDNAを調べます。

こんにちは、フリードリッヒ・ミーシャです。私は細胞の化学に興味があります。1869年に白血球の研究を始めました。 白血球は感染症から生じる膿の主要な成分です。私は近くの病院で、包帯からたくさんの膿を集めました。 包帯から膿を洗い落とすのに、塩溶液を使いました。細胞に弱いアルカリ溶液を加えたところ、細胞は溶解し、溶液から核が沈殿しました。 [塩溶液の中の包帯] [アルカリ溶液] [細胞核] 私は、細胞核からヌクレインと名づけたユニークな化学物質を単離しました。ヌクレインは試したどの細胞にもありました。 [ヌクレイン] 化学的には、ヌクレインはリンが豊富です。ですから、私は、ヌクレインは主に細胞のリンの貯蔵庫として働いていると思いました。私の時代には、ヌクレインについて、他のはっきりした生物学的な機能を見出すことはできませんでした。 フィーバス・レヴィーンです。1900年代初めまでに、私たちはミーシャのヌクレインはタンパク質と核酸の混合物であると気がついていました。核酸にはDNAとRNAの2種類があります。DNA(デオキシリボ核酸)は、主に核に見られます。RNA(リボ核酸)は、主に細胞質に見られます。私の仕事のほとんどはDNAの化学的性質に関するものでしたが、まずタンパク質についてお話しましょう。 タンパク質は、アミノ酸という20種類の異なるサブユニットからできています。 [アミノ酸] これらのアミノ酸は化学的につながり、タンパク質の鎖を作ります。 [仮想タンパク質鎖] 20種類の異なるアミノ酸を部品として使うと、たとえ小さなタンパク質でも、何百万もの種類の配列の組み合わせができます。たった4つのアミノ酸をつなげた例で考えてみましょう。20種類のアミノ酸のどれもが、どの位置にも来ることができますから、可能な組み合わせは 16万通りにもなります。 [レバーを引く] ですから、タンパク質は様々に異なる形や大きさになります。この多様性により、タンパク質が遺伝する分子として有力な候補となったのでしょう。 私が研究していたDNA分子は、ヌクレオチドという、たった4つの異なるユニットしかありませんでした。 [ヌクレオチド] ヌクレオチドは3つの要素からなっています。 リン酸... デオキシリボース糖... そして、窒素塩基です。 [窒素塩基] デオキシリボース糖の炭素には、1から5まで番号がついています。ヌクレオチドの中で、窒素塩基はいつも1番目の炭素に、水酸基(OH)は3番目の炭素に、そしてリン酸基は5番目の炭素に結合しています。 4つのそれぞれのヌクレオチドは、それ自身の特徴的な窒素塩基を持っています。 [シトシン] [アデニン] [チミン] [グアニン] 私は、ヌクレオチドはリン酸ジエステル結合でつながっていることを発見しました。ひとつのリン酸基が、ひとつの糖の3番目の炭素と、もうひとつの糖の5番目の炭素と、それぞれヒドロキシル基(-OH)を介して結合することで、2つの糖とつながっているのです。 [リン酸ジエステル結合] リン酸ジエステル結合は、ヌクレオチドのつながりに方向性を与えます:5番目の炭素から3番目の炭素へ、つまり5ダッシュ(5’)から3ダッシュ(3’)へ。 私は、DNA分子の中で、ヌクレオチドはどれも同じ量だけ存在していると考えていました。そこで、私はDNAが4ヌクレオチド、つまり順番がいつも同じになっている4つのヌクレオチド、がつながったものに違いないと提唱しました。 [4ヌクレオチド] 1938年に私は、DNAは誰もが思っていたよりもずっと大きな分子であることを明らかにしました。DNAは重合体で、4ヌクレオチドを反復単位とする長い鎖であると考えることは、より理にかなっていました。 [DNA鎖] DNAが遺伝情報を運べるほど“賢い”かもしれない、と想像することは難しかったのです。私のモデルでは、DNAは4ヌクレオチドのブロックでできていました;一方、タンパク質は20種類のアミノ酸のアルファベットを持っていました。私の考えでは、タンパク質の方が核の遺伝物質の候補としてより好ましかったのです。

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核酸の構造を決定したフィーバス・レヴィーンの研究は分析的で厳密なものでした。一方で、彼の4ヌクレオチド仮説はほとんどすべてを理論的なデータをもとにしていました。レヴィーンは自分の仮説に疑いをもたせるデータを“見逃して”いました。

Hmmm...

1920年代から1930年代にかけては、多くの研究者がレヴィーンの4ヌクレオチド仮説を受け入れていました。もしレヴィーンがそのような仮説を提唱しなかったら、科学の歴史は変わっていたでしょうか?