テーマ 20DNAのはしごは全体をコピーするための鋳型となります
アデニンはチミンと、グアニンはシトシンと必ず塩基対を作ることから、ワトソンとクリックは、DNAのはしごの半分はDNAの複製時にもう片方を再生するための鋳型として働くと提案しました。1958年までにこの仮説を証明する2つの証拠が同時に出ました。ひとつはDNA合成酵素という酵素が発見されたことで、この酵素はDNAの半分の分子からなる鋳型に相補的な塩基を付け加えます。
もうひとつは細菌が世代交代する時に、どのようにして新しいDNAができるのかを窒素の同位体を使用して追跡した巧妙な実験です。この実験で、それぞれのDNA分子のどちらかひとつの鎖が2つのそれぞれの娘細胞に、変化することなく伝えられることが分かりました。この“保存された”DNA鎖がDNA合成酵素によって次の相補的なDNA鎖を合成するための鋳型として働きます。このようにして、新しいDNAが完成します。