テーマ 32動き回るDNAがあります
遺伝子は染色体に沿ったビーズのようであるというトーマス・ハント・モーガンの概念は、20世紀前半を通じてほとんど変わりませんでした。遺伝子は染色体上の固定された位置にあり乱されていないものと考えられていました。しかし、1950年代にバーバラ・マクリントックが、トランスポゾンと呼ばれる特定のDNA断片が染色体上のある位置から別の位置に転置(“ジャンプ”)するために活性化されることを示しました。彼女は、トランスポゾンが環境ストレスに応答して急速に遺伝子を再編成する原因になっているという仮説を立てました。
マクリントックの研究は、定説が広まっているにもかかわらず受け入れられたという事実だけでなく、それが染色体と遺伝的交雑の観察に基づいたもののため、注目に値しました。しかし、彼女の考えの実証にはDNA解析の最新のツールの発見を待たなければなりませんでした。この仕事はダイナミックで変化する構造という現在の染色体の概念への道を開きました。