テーマ 41DNAはヒトゲノムを理解するための始まりにすぎません

DNAはヒトゲノムを理解するための始まりにすぎません。

 DNAは、遺伝情報を時とともに伝えますが、それは基本的に受動的な役割を持っています。実際には、DNAにコードされているタンパク質が“生命”を生む多種多様な細胞反応を行います。ヒトゲノムプロジェクトは私たちに何万もの遺伝子のカタログを提供していますが、私たちには「これらの遺伝子によって作られたタンパク質は実のところ何をするのか?」という疑問が残ります。

 科学者は、常にタンパク質の機能についての手掛かりを提供する変異体に期待を寄せていました。今では、改造したもしくは機能を持たない遺伝子のコピーを生きている生物に戻し、行動や発生における変化を探すための変異体を自由自在に作り出すことができます。マウスはすぐに繁殖しヒトと約99%の遺伝子を分かち合っているので、大規模な機能解析に最適なモデル動物になりました。しかしながら、ひとつの遺伝子の組換え実験を行うことは、その遺伝子の塩基配列を決定することより桁違いに難しいのです。ヒトゲノムを理解する本当の仕事はまだこの先に待ち受けています。