テーマ 29DNAが折りたたまれて染色体になります
1974年、ロジャー・コーンバーグは、クロマチン構造におけるヒストンの重要な役割を解決しました。
ロジャー・コーンバーグ(1947-)
ロジャー・コーンバーグは、アーサー・コーンバーグとその妻のシルビーの間に生まれた3人の子供の長男として、ミズーリ州セントルイスに生まれました。両親がとても尊敬される科学者であったことから、ロジャー・コーンバーグもまた、科学に興味を持ち、熱中して成長したことは驚きではありませんでした。彼はインタビューで次のように述べています:
「科学は、夕食の会話の一部であり、午後や週末の活動のひとつでした。私の両親は、二人とも優れた科学的精神の持ち主であり、論理的で冷静に疑問や問題に取り組む方法を模範となって教えてくれました。科学的推論は、私の第二の天性となりました。何にも増して、科学の楽しみは、弟たちと私にとって明白なものになりました。」
コーンバーグは化学と生化学を勉強して、特別深く考えることもなく、科学者になりました。彼は1967年にハーバード大学で科学の学士号を取り、スタンフォード大学の大学院で研究に従事しました。彼の博士論文は、リン脂質の化学的特性に関する研究です。
1972年に、コーンバーグは、英国ケンブリッジのMRC[英国医学研究審議会] で博士研究員の研究として X線結晶構造解析に従事しました。そこで彼は、アーロン・クレッグがクロマチンから得たX線パターンに興味を持つようになりました。この結果と他の実験データから、コーンバーグはクロマチンの構造における、ヒストンの重要な役割をついに解決しました。コーンバーグは1974年に研究結果を論文に発表しました。
コーンバーグは、その後もMRCに研究職員として留まり、1975年にハーバード大学で助教に採用されました。1978年、彼は、現在も構造生物学の教授をしているスタンフォード大学へ移動しました。
過去の35年間に渡って、コーンバーグは150編以上のリン脂質とクロマチン構造、遺伝子調節、転写制御に関する、専門家が審査する研究論文を発表しました。彼の現在の研究興味は、クロマチンと染色体の包括的な構造と、そのような構造形成がどのように遺伝子の発現抑制に関っているのかについてです。2006年に、コーンバーグは、ノーベル化学賞を“真核生物の転写に関る分子基盤の研究”により受賞しました。
コーンバーグは、子供の頃からバイオリンを演奏し、読書を好みます。しかしながら、科学以外の彼の主要な興味は、家族を中心に展開していることを彼は認めています。
ロジャー・コーンバーグの弟、トーマスも科学者です。彼は、DNA複製に使われるDNA合成酵素IIIを単離しました。コーンバーグのもう一人の弟は、建築家で研究所を設計しています。
それぞれのヌクレオソームには、なぜ8個のヒストンがあるのでしょうか?ひとつの大きなタンパク質だったら、より簡単でしょうか?