やあ! あなたが嚢胞性線維症に興味を持つ研究者だとしましょう。嚢胞性線維症とは、肺や他の器官に大量の体液がたまってしまう劣性の遺伝病です。 あなたはその病気を引き起こす遺伝子の位置を特定し、タンパク質のアミノ酸配列を読むことができました。しかし、そのタンパク質が何の働きをしているかは分かりません。 BLASTはNCBI(国立生物工学情報センター)からオンラインで入手できるコンピュータープログラムで、他のタンパク質で似ている遺伝子やアミノ酸配列を探すことができます。既知の機能を持った似た配列を調べることで、その未知のタンパク質の機能を解く手がかりを得ることができます。 BLASTの最初のステップは、プログラムと使用するデータベースを選択することです。はじめに、プログラムボタンをクリックしてください。Blastpはアミノ酸配列を他のタンパク質と比較するもので、Blastnは塩基配列を他の遺伝子と比較するものです。 今度はDatabaseボタンをクリックしてください。"nr"を選ぶことで、利用できる全ての生物の全ての配列を検索することができます。またヒトのESTやショウジョウバエ、酵母などに、検索範囲を限定することもできます。 あなたは他の類似配列を探すのに、タンパク質配列を用いたいとします。適切なプログラムとデータベースを選択してください。 正解です。 データベースの選択が間違っています。 プログラムの選択が間違っています。 プログラムとデータベースの選択が間違っています。 巨大データベースでの検索では、類似のタンパク質が多くの生物から見つかります。塩基配列の代わりにタンパク質の配列を用いることで、塩基配列が異なっていても類似するタンパク質が探せるでしょう。 次のステップは、入力ボックスにあなたのデータを入力することです。塩基配列を入れる場合は、配列の文字を使うだけです。アミノ酸配列を入れる場合は、以下に示すIUB-IUPAC命名法の一文字表記を使用してください。 正しく入力されたデータボックスを選択してください。 タンパク質配列で検索したいのです。 文字表記のフォーマットが違います。 正解です。 あなたはタンパク質データベースで検索しているので、アミノ酸は一文字表記で書きます。プログラムとデータベースを選択し、データを入力したら、“Search”ボタンを押して、類似のタンパク質を見つけてください。 ここにデータを入力してください。 数百の検索結果が返ってきます。検索結果は、相同性の程度によって色分けされています。赤とピンクで示された配列が、高度に関連した構造的ホモログと考えられます。 どのタンパク質がそのヒトタンパク質に対して機能するホモログですか? リストにある全タンパク質 (全部のタンパク質がホモログということは考えにくいです。) 赤で示された配列 (正しいですが、もっとあるかもしれません) 赤とピンクで示された配列 (不正解です。) ひとつ以上の赤とピンクで示された配列 (正解です。) タンパク質が構造的に類似しているからといって、それらが全く同じ機能を持つとは限りません。そのことは実験的に確かめる必要があります。 検索結果の図の上位5ラインにマウスを重ねてください。何のタンパク質であるかが示されます。 [酵母の膜にある毒素輸送体] [酵母のフェロモン放出システム] [大腸菌の膜貫通ペプチド輸送体] [ショウジョウバエの眼球色素輸送体] [大腸菌の膜にあるリン酸輸送体] 構造的ホモログの説明を見た後で、そのヒト遺伝子の機能に対する最良の推測は何でしょうか? 低分子を細胞内あるいは外へ運搬する。 (正解です。) 低分子を細胞内で運搬する。 (いいえ、ホモログは全て膜貫通トランスポーターです。) タンパク質を細胞内で運搬する。 (いいえ、ホモログは全て膜貫通トランスポーターです。) タンパク質を細胞内外へ運搬する。 (いいえ、ホモログはペプチドトランスポーターだけではありません。) 毒素の運搬。 (いいえ、ホモログは毒素のトランスポーターだけではありません。) イオンかペプチドかに関わらず、これらの全てのタンパク質は低分子を運搬します。タンパク質が膜に位置することは、このタンパク質が分子を細胞の中あるいは外に移動させることを物語っています。さらなる研究から、このタンパク質が塩素イオンを運搬することが分かり、このタンパク質は嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)と名づけられています。 ホモログのアラインメントを高度に相同性のある領域で更に詳しく調べました。下記はCFTRタンパク質の配列と関連するタンパク質の部分的なアラインメントです。 配列のアラインメントだけから、赤で示したどの部分が重要な機能を持つと考えられますか? 違います。 違います。 正解です。 違います。 それぞれの(全ての)アミノ酸は一致していませんが、この部分全体は高度に保存されています。従って、この部分がおそらく活性を持つと考えられます。研究者は後にこのタンパク質で、フェニルアラニン(F)が欠損すると膜に到達しないことを発見しました。その結果、嚢胞性線維症になるのです。 もしあなたが同様のタンパク質を、塩基配列を用いて検索すると、配列間の相同性はおそらく、 全く同じになる。 (違います。) 増加する。 (違います。) 減少する。 (正解です。) ほとんどのアミノ酸はいくつかのコドンでコードされているので、同じタンパク質配列が異なる塩基配列によってコードされる場合があります。そのため、塩基配列の相同性は低くなると予想されます。