テーマ 36細胞ごとにさまざまな遺伝子が活性化されます

イゴール・ダヴィド トム・サージェント パット・ブラウン スティーブ・フォダー イゴール・ダヴィドトム・サージェントは、cDNAサブトラクション法を用いて、遺伝子発現変動を解き明かす研究を初めて行いました。パトリック・ブラウンスティーブ・フォダーは、DNAアレイやジーンチップ®を用いて、ゲノムを解析する方法を変えました。

ステファン・PA・フォダー(1953-)


スティーブ・フォダー

 スティーブ・フォダーは、ワシントン州シアトルに生まれました。彼の父は医師でしたが、周囲の人々が望んでいなかったため、フォダーは、大学へは行くつもりはありませんでした。代わりに、ジャガイモ農場で働いたり、時間に余裕がある時は、趣味のフライフィッシングをしたりしていました。

 しかし、最終的には彼も、大学へ行くことになりました。ワシントン州立大学で生物学の学士号を修得し、その後、ワシントン州立大学大学院で、生化学の修士号を修得しました。フォダーは、それからプリンストン大学へ移り、1985年に化学の博士号を修得しました。大学と大学院時代には、フォダーは“神の手”を持つ者として知られていました。彼は、微調整の技で事をうまくいかせることができました。

 フォダーは、カリフォルニア大学バークレー校で博士研究員として、研究を続けました。そして、1989年には、[カリフォルニア州]パロアルトにあるアフィマックス研究所で研究職を得ました。彼はそこで、生体化合物を搭載した、微小高密度アレイを開発するプロジェクトの責任者となりました。この開発業務が、最初のDNAジーンチップ®の開発、そして、それらのチップを利用したゲノムの機能を対象とする、大規模な解析へとつながりました。ジーンチップ開発初期から、Science 1991年2月号で発表した、独創性に富む論文“光照射にガイドされる位置空間指定による並列化学合成:高密度マイクロアレイおよびコンビナトリアル・ケミストリー技術の幕開け”まで、多くの大変な改良を経てきました。ブラウンと同僚は、AAAS[米国科学振興協会]のニューカム・クリーブランド賞を1992年に受賞しています。現在では、酵母菌などの生物個体のゲノムが、解析のためにジーンチップ®に搭載されています。ジーンチップ®の成功は、1993年にアフィマックス研究所からスピンオフ[会社分割]して、独立経営の企業(アフィメトリクス社 現:Thermo Fisher Scientific)となり、ジーンチップの生産とそれを利用した解析に事業を特化することにつながりました。

 フォダーは、アフィメトリクス社の創設者兼会長です。彼の今までのジーンチップ®研究開発の業績に対し、2002年武田賞、2002年ナノテクノロジーのためのエコノミストイノベーション賞、2002年オックスフォードバイオサイエンス賞を含むいくつもの賞が授与されました。フォダーは、スネシス製薬とパールジェン社の取締役を務めており、ワシントンのカーネギー研究所の評議会員も務めています。

factoid Did you know ?

ジーンチップ®技術は、1塩基の変異を検出できるほど高精度ですが、そのためには、ハイブリダイゼーションの条件が最適化されていなければなりません。

Hmmm...

A-Tペアの間には2つの水素結合が存在し、G-Cペアの間には3つの水素結合が存在します。これは、ジーンチップ上での、サンプルのハイブリダイゼーションにどのような影響を及ぼすのでしょうか?