テーマ 25一部のウイルスはRNAに遺伝情報を持っています
DNAは遺伝情報を蓄える唯一の媒体だと考えられていました。更にワトソンとクリックのセントラル・ドグマでは、情報の流れはDNAからRNAそしてタンパク質へという一方向であると予想されていました。ですから、1971年に、ウイルスの中に遺伝情報の流れがRNAからDNAへと変化するものがあることが発見されたときには皆一様に驚きました。
これらのウイルスも、最終的には高等生物と同様の方法でタンパク質を作ります。ウイルスが感染した時に、RNAのコードは、“逆に”転写されてDNAになります。それから、すでに認められている図式に従ってRNA、そしてタンパク質ができます。RNAからDNAへの変換はセントラル・ドグマを逆行するものなので、逆転写と呼ばれています。そして、このメカニズムを使うウイルスはレトロウイルスと分類されます。特別な合成酵素である逆転写酵素はRNAを鋳型として相補的なDNA分子を、それから二重鎖のDNA分子を合成します。