テーマ 26RNAは最初の遺伝分子でした

スタンリー・ミラーとハロルド・ユーリーが、有機分子が生命誕生前の条件下で合成できることを実証し、トーマス・チェックとシドニー・アルトマンが、RNAは酵素活性を持つことができることを示します。

こんにちは、私はスタンリー・ミラーです。私は、大学院生であった1950年代に、ハロルド・ユーリーとともに非常に基本的な問題である「生命の起源」を解き明かすための研究に取り組んでいました。 数十億年前の地球は生命を寄せつけない場所でした。火山噴火があり、酸性雨が降り、呼吸に適さない酸素濃度で、紫外線を通さなくするオゾン層がない状態でした。 私たちは、木星の大気のように、アンモニア、メタン、二酸化炭素、水素ガスを含む大気だったと推測しています。 カーソルを分子式に載せると気体の名称が表示される。 1950年代の初めに、ユーリーと私は生命誕生前の地球の状況を再現するしくみを設計しました。 これは再循環システムです。ガスは“大気”として、上部のチャンバーにあり、濃縮して下の水に溶け込みます。水は“海”として、下部のチャンバーに入れました。 下部のチャンバーから気化した物質は、ガスとなり上部のチャンバーに入ります。 [“大気”][“海”][水][加熱] 上部のチャンバーのガスは初期地球の大気中で見られる雷を模した電気放電を受けました。電気放電は化学反応のためのエネルギーを与えます。その後の実験で、UV照射や加熱によって生じるエネルギーを使って同じ結果が得られることを示しました。 数時間の循環を行なうと、シアン化水素、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどの単純な有機分子が上部の大気のチャンバーの中に合成されていました。 [シアン化水素][ホルムアルデヒド][アセトアルデヒド] これらの分子は下部のチャンバー内に蓄積されて、いくつかのアミノ酸や他の有機酸を作るための相互作用を起こしました。 [アスパラギン酸] [乳酸] [アラニン] [グリシン] [尿素] 最終的に、私達は、ヌクレオチド、糖、そして、その他の有機分子などの混合物も見つけました。基本的に、生命の構成要素のほとんどをこのチャンバーの中で作ることができます。 アミノ酸も長い鎖のものができます。 ヌクレオチドもまた長い鎖を作ることができます。 私は、トム・チェックです。ミラーとユーリーの実験は、有機分子が地球の生命誕生以前の状態でできることを示しています。しかし、分子がお互いにぶつかり合い、短い鎖が遺伝情報を運ぶ長い鎖の分子になるまでにはかなりの時間を必要とするでしょう。 RNAはそれ自身を複製することができる最初の分子でした。原子スープにおいて1本鎖RNA分子は鋳型であったに違いありません。 ひとつのヌクレオチドが鋳型となって塩基対を作り、それからより長いRNA分子を作ることができたのでしょう。 このプロセスは繰り返され、もとのRNA分子からコピーが作られます。RNAが複製されます。 自己複製できることが、RNAが最初の遺伝分子であるに違いないと考える理由のひとつです。 RNAはまた、非常に汎用性があり、リボゾームの構成成分としても機能します。最も重要なことには、私はRNAが酵素として働くことに気がつきました。 私は、テトラヒメナという単細胞原生生物から特別なRNAを単離しました。このRNAはリボゾームRNAの前駆体で、400塩基のイントロンを持っています。 驚いたことに、このRNAはタンパク質の助けを借りずに自分自身をスプライシングしたのです。唯一必要な成分は、遊離の(結合していない)3’水酸基を持つグアニンヌクレオチド(グアノシン)です。 [エクソンA][エクソンB] [イントロン] 私はグアニンを放射性物質でラベルして、反応を追跡できるようにしました。 [エクソンA][エクソンB] [イントロン][グアニンヌクレオチド(グアノシン)] グアノシンは、イントロンの5’末端を“攻撃”し、末端に結合します。 エクソンAの3’末端の水酸基はエクソンBの5’と結合します。こうしてイントロンをスプライスします。 水酸基の転移は、代謝エネルギーの損益がないよう、同時に起こるようにみえます。RNAはそれ自身の触媒としても作用します。 大腸菌のリボヌクレアーゼPを研究している私の同僚、シドニー・アルトマンも独立に、RNAが触媒機能を持つことを示しました。 私たち2人はこれらの研究で1989年のノーベル化学賞を受賞しました。 私たちの発見は、セントラル・ドグマを変えました。RNAは単なる遺伝情報の伝達者ではなく、RNAもまた酵素として働くことができるのです。今では、これらは、リボザイムと呼ばれています。

factoid Did you know ?

アミノ酸や他の有機分子には、光学異性体があります。いくつかの分子は互いに鏡像関係であり、L型とD型として知られています。

Hmmm...

地球上の生物によって使用されるアミノ酸のほとんどはL型です。なぜでしょう?